午後の執務室。 選りすぐりのボススキーであるヴァリアー幹部は、任務さえなければ必ずといっていいほどここでたむろしている。 本日任務がないのはベルフェゴール、そして午後からオフの予定のスクアーロだった。 「なあなあ〜もう直バレンタインだよなあ。日本じゃカノジョがカレシにチョコ送る日らしいぜ?知ってた?」 「知らねえなそんな浮かれたもんは。」 「じゃあ今知ったよな!」 「うっせえな!耳元で喋るな!手前の無駄な鮫トリビアなんぞなんの興味ももてねえんだよ!」 「なんだお前鈍いなあ・・・今の一連の会話は、控えめながらもチョコの催促をする文化的会話だっただろ?」 「ああ!?」 「チョコくれよぉザンザス〜。お前俺のカノジョだろお?」 「はあ・・・・・?」 「ねーねーボスってスクアーロのカノジョなの?それってどういう意味?」 「ベルっ・・!!」 会話に入ってくるな!とザンザスは思った。そして口に出そうと思った。しかし悲しいかな、少しだけ遅かった。 「それはだなあ〜俺がザンザスに突っ込むほうって事だぁ。」 「突っ込むって何を?もしかしてスクアーロのちんこボスに入れるって事?何処に?」 「そりゃあお前、男に突っ込む穴は二つしかねえだろ?そのうちの一つがあの可愛いお口だよ。」 「うわあ〜そうなんだ!いっつもスクアーロの喘ぎ声しか聞こえないから、てっきり逆なんだと思ってたよ!」 「馬っ鹿お前、ザンザスは奥ゆかしいんだよぉ。」 「お前がヘタクソなんじゃねえの〜?ボスってすごい敏感で淫乱だもん。俺の中では。」 「実際すっげえ敏感で淫乱だぞお!なんてったってあいつこの前ところてん・・・」 「いい加減にしろ!」 顔を真っ赤にしたザンザスは手元にあった堅いものをとにかく投げつけた。 羞恥プレイまがいの会話には、なんだかんだいって心は純情少年のザンザス様には恥ずかしすぎた。 「お前のような恥知らずは、人生を子宮からやりなおせばいいんだ。」 「へ〜ここかあ?」 ザンザスがそう吐き捨てたと同時に、スクアーロの手がザンザスの下腹部(婉曲表現)に伸びた。 そのまま卑猥な手つきで揉んでくる。ザンザスはやっきになってその手を引っぺがした。 「え!?ボス、子宮持ってるの!?」 「ベル・・・食いつくな。」 「子宮はねえけど、俺を受け止めてくれる直腸と言う名のオアシスならあるよなあ」 「へえ〜ねえ、それって子供生める?」 ザンザスは震えていた。かつてない怒りと脱力が彼に同時に襲い掛かり、ザンザスは妙な浮遊感に襲われた。 「(あ・・・俺切れるな。うん、切れたな。)」 微妙に危険なことを頭の中で呟くと、ザンザスは輝かんばかりの笑顔で振り返った。スクアーロとベルフェゴール は思わず馬鹿話を止めてその顔を凝視した。 「スクアーロ、手前甘いものが好きだったな!」 「へ?え、あ、ああ・・・・・」 「くくく・・・そうか・・・」 不敵な笑みを浮かべると、ザンザスはずかずかと大股で部屋を出て行った。 「え?今のって、つまり期待していいってことだよなあ?」 「チッ。」 「なんだ手前ベル、今舌打ちしやがったかあ?」 「え?難聴ですかあ?あーフカヒレ食いたいなあ!皿一杯食いてえ〜マーモン誘って中華かなあ今日は。」 ベルはその後もなにやらぶつくさ言っていたが、どうやらザンザスにチョコレートをもらえそう だとわかったスクアーロの耳にはもはや天上の歌声しか響いていなかった。 それからヴァレンタインデーまでの数日間というもの、スクアーロは絶好調だった。彼の左手は 夏の台風の如く唸りをあげ、敵を砕いていく様子はさながら工事現場の掘削機の如くだった。 彼の業によって多くの人々は肉片となって中空に舞い、その血潮は奇怪な模様を壁に床に描きあげた。 その鬼神の如き所業が、よもやたかがヴァレンタインデーに恋人からチョコをもらえるというだけで ハイになった男によるものだとは、誰も思い至らぬところであっただろう。恋は人を狂わせるとは よくいったものである。 一方ヴァリアー屋敷内にて。親愛なるザンザス様の忠実な部下たちは、怪しげな荷物がボスの私室に 運び込まれているのを発見した。また他のものは、ザンザス宛の書籍の小包を受け取った。 そしてある不運な者は、どす黒いオーラを振りまきながら口の端を吊り上げた、悪魔のような形相の ザンザスに廊下で出会ってしまった。すれ違い様その禍禍しいオーラに当てられた彼は、いい年をして 往来で失禁する始末であった。 「(ボスからのチョコ!ボスからのチョコ!俺は今何かを越えたぜえ!今なら野生のゴリラにだって素手で勝てる!愛は 人を強くするぜえ!一度言ってみたかったこの台詞!)」 「(ふふふ・・・・バレンタインまであと1週間・・・思い知れスクアーロめ!)」 (後編へ) そんな感じで・・・・・続編からもっと壊れていきます。主に私が。 |